家族

韓流テレビ映画傑作シリーズ「ママはアイドルに夢中」(2010)

2019-10-14

「チャングム」のヤン・ミギョンとイ・ジュン(元MBLAQ)が贈るがんばる主婦への応援歌

作品情報

●評価 3.0★★★
●2010年製作
●提供元 MBC
●上映時間 82分(全一話)
●監督 キム・ユンチョル
●脚本 ペ・ピヨン
●原題 주부 김광자의 제3활동(主婦キム・グァンジャの第三活動)
●出演 
ヤン・ミギョン(キム・グァンジャ)
イ・ジュン(歌手 Jin's ボーカル Jin)
キム・ガプス(夫役 チェ・ビョング)
ハン・ボベ(グァンジャの娘役 ユンソン)
ハ・スンリ(ナ・ユミ <ハンドル名:雨後のタケノコ>)
チョン・ギョンホ(パソコン教室のチョン院長)

あらすじ

あらすじ
主婦キム・グァンジャヤン・ミギョン)はどこにでもいる一般の主婦。42才。夫ビョングキム・ガプス)は交番に勤める警察職員。リストラの対象になっている窓際族である。一人娘のユンソンハン・ボベ)は中学生。学校でナ・ユミハ・スンリ)のグループにいじめられている。

グァンジャはウキウキしていた。もうすぐ自分の誕生日が近づいてくるからだ。誕生日には夫と娘がどんなお祝いをしてくれるのだろう。主婦業をほめてくれる人はいない。こなして当たり前の裏方業。地味で脇役の主婦は、けっして主人公にはなれない。だが、年に一度おとずれる誕生日だけは別だ。この日だけは自分が主人公になり、家族に「サランヘ!」と心から祝ってもらえる日だ。

どころが、その誕生日、娘は試験勉強で図書館へ、夫は上司の親戚の葬式に出席するので遅くなるという。しかも二人とも母の誕生日ということも忘れている始末。グァンジャは悲しみのあまりふさぎ込んでしまう。二人のことは大好きだ。わかっている。大変なことが起こったわけでもない。だから文句を言ってはいけないのだが、ただただ孤独だった。

父母の墓参りの帰り、タクシーに乗ったグァンジャ。ラジオから流れてきた音楽に心を癒される。Jin の "Sad Birthday To Me" だった。まさに自分の心そのままではないか。グァンジャは心をつかまれる。さっそくCDショップに行き、Jin のカセットを購入する。

あくる日から、夫と娘を送り出した後は Jin の音楽を聴きながら家事業に精を出すグァンジャ。心が明るく楽しくなる。久しぶりに味わうドキドキする感情は引っ込み思案の彼女を変えていく。まず、 Jin のファンクラブにアクセスしようと思うが、パソコンなど触ったことさえない。それならパソコン教室に通おうと決心する。

夫と娘はグァンジャの小さな変化に気づいていない。グァンジャはいつか Jin に会いたいと思う。その日のために退屈な主婦業も、感謝されない裏方業も、一生懸命やろうと心に決める。ネットにアクセスできるようになった彼女はたくさんの Jin ファンと友達になる。世界が一気に広がった。ファンと交流する時だけは束の間の癒しの時間だ。

さて、グァンジャは Jin に会うことができるのか。グァンジャの努力はつづく。



※以後はネタバレがあります。まだ観ていない方は読まないことをお勧めします。


ヤン・ミギョンさんはまり役! 主婦よ、忘れてかけていた誰かに夢中になる気持ちは間違っていない!

いやー。すっごいいいドラマでした!

全1話きりのドラマですが、コンパクトな中に言いたいことがぎゅっとつまっていた。映画に匹敵しますねこの充実感は。タイトル見ただけでスルーした人は是非見てください。意外とすばらしい出来映えに涙が出ます。取って貼ったようなチープなオシャレ映画見るより、ずーっとよかった。

ヤン・ミギョン(양미경)さんは「チャングム」(大長今 대장금) のハン尚宮(ハンサングン)の時からのあこがれの人。手帳に写真をずっと忍ばせていたぐらい好きで、私は韓国のオンマとしてずっと思慕してきました。ほんとうにミギョンさんの持つ優しい雰囲気と静謐な声は最高です。

「チャングムの誓い」ハン尚宮(ハンサングン)

この作品は、ミギョンさんが49才の時に公開されたMBSドラマである。同じ40代の主婦グァンジャを演じているが、こんなキレイで優しいオンマの誕生日を忘れるなんて、なんてひどい家族だと思った。

主婦業ほど感謝されない仕事もない。どうせ家で寝ているんだろう。昼になったらママ友とカフェでランチして美味しいもの食っているんだろう、子育てなんて遊んでると同じだ等と、世間の無理解はひどい。

ならば主婦業をやってみるがいい。外で働くのと一番の違いは、主婦業にはお給料が出ない。男は外で働いて給料袋もって存在感を誇示できる。子供も学校に通って点数をとってくればそれで達成だ。しかし主婦は朝から晩までいくら働いても家族以外の第三者からお給料をもらうということがないため、ぞんざいに扱われてしまいがちだ。

だったらせめて家族から感謝の一言をもらいたいと思うグァンジャの気持ちはどこか共感できる。「サランヘ、オンマ」とぎゅっと抱きしめてあげてほしい。


しかし、同時にこんな見方もできる。
リストラ寸前の夫ビョングはいつ首になるかびくびくした毎日を職場で過ごしているし、娘ユンソンはクラスのいじめられっ子だ。グァンジャは気づいていないが、夫も娘も心配事を抱えながらも家では明るく振る舞っている。

考えてみると、腹をわって話せる家族なんてそうそういない。心配かけたくない。情けない奴だと思われたくない自尊心から、家族はそれぞれに隠し事をする。このドラマでは、グァンジャは自分の淋しさばかりに気を取られて、彼らの悩みに気づいてあげていないが、主婦だけがつらいわけではないのだ。

そう。みんなつらい。
つらいから、愉しみを見つけてウキウキしたいと思う潜在意識がどこかにある。それがグァンジャにはアイドル Jin に夢中になることだった。

2003年「冬のソナタ」の放送でペ・ヨンジュン演ずる紳士なジュンサンに夢中になった日本中のおばさま方は、このグァンジャの気持ちが痛いほど分かるはずだろう。

まだ韓流に夢中? はい。わたしは死ぬまで韓流に夢中です。

あきらめていたものへ挑戦する気持ちがすばらしい。自己否定の主婦が少しずつ変わっていく

グァンジャを見ていると、いじらしくて泣けてくる。

主婦業は立派な仕事なのに、キライなわけでもないのに、同じ毎日が過ぎていくことで大切なものが見えなくなり、そんな心の隙間に Jin の音楽が入り込んでくる。

なにかに夢中になると世界が広がり、パソコンを習ってみようと奮起する。グァンジャの良いところと思いがちだが、そうではなくグァンジャが誕生日をだれにも祝ってもらえなかったことがよほどショックだったのだ。ショックがおとなしかった彼女を強くした。

パソコンを習いに行くグァンジャ。みるみる内に上達する。

キーボードの打ち方も知らなかった彼女だが、励ますチョン先生の指導の下、少しずつ上手になっていく。ド素人が動画を作れるようになる過程はほんとうにすばらしかった。ロッキーの映画を見るような爽快感だ。わたし大げさか?! 

彼女は家でも家族が寝静まった夜、そっとPCを開いて練習する。その姿はけなげでまことにいじらしい。

グァンジャは上達したPCを使って困っている家族を助けたりする。
家族たちはその時になってはじめてびっくりするのだ。
グァンジャ、おまえは天才かと。

リストラ寸前の夫にはプレゼンテーションをパソコンで素早く作ってあげたり、娘には宿題のウェブマガジンのデザインを作成した。ただの主婦だと思っていた家族ははじめてグアンジャに尊敬の気持ちを抱く。

大好きなJinのファンサイトに初めてアクセスしたグァンジャ

グァンジャが Jin のファンサイトにアクセスできた時の表情がこれまたすばらしい。やっとここまで来たという感慨と、サイトに集うファンたちと共有できる楽しい空間が彼女をさらに輝かすのである。

さらに、美大を卒業した彼女は Jin の顔をスケッチした画像をサイトに投稿する。ファン友に絶賛され、大きな反響に驚くグァンジァ。自分の価値観が共有できるだけでなく、自分をほめてくれるファン友の存在。顔は見えないが、そんな心地良い世界をもてたことが何よりもうれしかった。

年をとろうが、何かを達成しようとする姿は涙ぐましくていじらしい。ヤン・ミギョンさん自身の努力する人柄と相まって、ここは心ひかれる大好きなシーンになった。

どんなにアイドルに夢中になっても自分の立ち位置は忘れないグァンジャがステキだった

この映画は、アイドルを好きになった主婦が主人公だが、主人公は何もかも投げ打ってアイドルにおぼれたのではなく、自分の立ち位置を決して忘れなかった。ここにとても好感をもてた。

グァンジャはそれまで何度もJinのライブに行こうとするのだが、ことごとく家族の用事が重なっていけなかった。夫の遠い親戚の法要や上司のお祝い事につき合わされるからだ。主婦は案外忙しい。その度に自分を殺して家族の行事を優先させてきた。

その日もグァンジャは夫から頼まれていた上司の息子の誕生日パーティへの出席に行くことになっていたが、Jinのライブと重なっていた。今度こそ Jin に会えると思っていたグァンジャの心は暗くなる。

ライブ会場に行こうと決心するグァンジャ

美容院で偶然会ったパソコン教室のチョン院長に「何を選択するかによって人生は変わる。今後は体裁ではなく心のままに生きます」と言われ、ハッとする。

「なにを諦めているのだ。今日だけは自分の思う通りに行動してみよう」

グァンジャはそう心に決めて、ライブ会場へ大急ぎで向かう。

ライブ会場に着いたグァンジャは、ゲームであこがれの Jin とキスする幸運を勝ち取るが、有頂天になりながらもキスを求めず、"Sad Birthday To Me" を歌ってくださいとお願いする。

それは、あの日タクシーのラジオから流れてきた歌であった。どれほどこの歌に慰められただろう。グァンジャの目の前にやさしく微笑み返す Jinがいた。

グァンジャは大それた恋愛がほしかったのでなく、ほんの少しでいいから誰かに認められたかった。あの悲しかった誕生日を慰めてくれたのは Jinの歌声であり、毎日を輝かせてくれたのはファイサイトの仲間だった。

世の旦那さま、たまには文句も言わず家を守っている奥さんをほめてあげてくださいね。ふつふつとしたマグマがそのうち活火山状態になるかもしれません。その前に、「いつもありがとう」とぼそりと言いましょうね。

心あたたまるすばらしいドラマでした。
レンタルで借りれますので、どうぞ。

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毒女 悦子

韓国映画をみてハッと胸をわしづかみにされたことありませんか?
悲しい時つらい時に韓国映画を見て、心がほんのすこし救われたことありませんか? しあわせを感じたことありませんか?

わたしはたくさんあります。

韓国映画のもつ奥深さになぐさめられたり、息もできない胸苦しさを覚えたり、一日中その余韻に浸ったり、夢の中まで追いかけられたり。 韓国映画に流れるあたたかいもの、残忍なもの、切ない永遠のものに、 ずっとずっと恋をしています。

同じ気持ちの人たちとつながっていたい。

アラフィフ。老後が心配。
でも死ぬまで韓国映画を抱きしめているぞ。

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