ドラマ 青春

チョン・ウヒが渾身の演技で演じた「ハン・ゴンジュ」 17歳の涙(2013)

2019-08-30

なんの罪もない少女が負わなければならない苦痛。事件のつらさだけが伝わる映画

作品情報

●評価 3.0★★★
●制作 2013年
●上映時間 112分
●原題 한공주(ハン・ゴンジュ)
●英語題 HAN GONG-JU
●監督 イ・スジン
●脚本 イ・スジン
●出演
チョン・ウヒ、チョン・インソン、キム・ソヨン、キム・ヒョンジュン他

2014 第35回 青龍映画賞/新人監督賞,女優主演賞(チョン・ウヒ)


113分が永遠の長さに思えた。ただつらい映画。

つらかった。
ほんとつらかった。

上映時間をもうすこし短くしてもいいんじゃないのかと思うくらい、正視できないつらい映画でした。

113分が永遠の長さに思えた。

ハン・ゴンジュチョン・ウヒ)の亡くなった親友ファオクがところどころ登場するのだが、その登場の仕方がややわかりにくい。現実と回想の混在。それに気がつくのに少し時間がかかった。前置きなしに見るとこうなるので要注意です。

韓国の犯罪事件に基づいた話 (密陽女子中学生集団暴行事件, 2004)。
何十人という集団で少女を何日も暴行しつづけたというまれに見る恐ろしい事件だ。知れば知るほど背筋が凍る。


この映画、どう撮ったんだろう。
わたしはどう見ればいいのかしらと、ずっと心が重かった。

作品は、強姦の描写よりも、被害者ゴンジュチョン・ウヒ)の孤独な心の揺れを丁寧に追っていて、きちんとした鑑賞の枠内に仕上がっていたと思う。それにしても、起こった事件の生生しさと残酷さに絶句する。

「人を生きたまま殺す」とはこういうことを指すのではないか。

大人たちの責任を痛切に感じる。
この女子生徒は、被害者なのに大人はだれも守ってあげていない。
父親はアルコール中毒のクズ野郎、転校先の校長でさえも事実を知ると厄介者扱いをする。

ハン・ゴンジュ。なんて孤独だったんだろう。
事件後、彼女をなぐさめ助けてくれる大人が一人もいなかった。
そして、加害者少年たちは誰一人として刑罰を受けずに、なにもなかったかのごとく陽の下を歩き、大人になっている。

だいたい加害者の家族が被害者を追いかけ回して示談書にサインさせるということがまかり通っているのは、韓国社会のおかしなところである。日本では考えられない。
とくに自分の息子が猥褻犯罪をしたことを恥じいるどころか、おまえが誘ったからだと罵倒したりする場面もあまりの文化のちがいにたじろいでしまう。

はて、これを文化の違いと片づけていいのだろうか。
人として感じるものはないのか? そんなこともわからないのか?
何度も首をかしげてしまう場面が多かった。

被害者には絶望があるのみ。希望が感じられない映画

わたしは、この映画だけは、「日本と韓国の文化の違いを楽しむ」ということがまったくできなかったので、作品に評価をつけるのが非常に難しい。

映画は、被害者女性が両親や親族、その他だれからのなんの励ましも援助もなく、ただ一方的に世間や加害者の家族、教育機関に追いつめられていくだけだったから。

そこには再生の片鱗もない。ひとかけらもだ。

これは、実話があまりにも残酷だったからだろうが、こんな希望の欠片もない実話を映画にしてもいいのだろうかと思った。伝わるとしたら、被害者の底知れぬ痛みと悲しみだけだ。

印象的なエンディングシーン

最後のシーン。大きくて深い大海原が画面いっぱいに現れる。
激しい波と、引きずり込まれるような潮が迫る。
人の存在を許さない、荒れ狂った大海だ。

小さなゴンジュは波にあらがうように泳ぐ。
でも、泳いでも泳いでも、強い潮に押し流され、岸にたどりつけない。
彼女にできるのは、大海原の波を避けるように深く潜り込んだまま岸をめざすことだけ。決して波にあらがうことなく、水面に体を沈めたまま、ひっそりと泳ぎつづけるだけ。

とても印象的な描写だった。
被害者の女性は今も水面の下で、もがきつづけている。社会が忘れてもだ。

胸がしめつけられる。
誰かが演じなければならなかった。
主人公を演じたチョン・ウヒ(当時26才)さんの勇気ある演技に拍手を送りたい。


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毒女 悦子

韓国映画をみてハッと胸をわしづかみにされたことありませんか?
悲しい時つらい時に韓国映画を見て、心がほんのすこし救われたことありませんか? しあわせを感じたことありませんか?

わたしはたくさんあります。

韓国映画のもつ奥深さになぐさめられたり、息もできない胸苦しさを覚えたり、一日中その余韻に浸ったり、夢の中まで追いかけられたり。 韓国映画に流れるあたたかいもの、残忍なもの、切ない永遠のものに、 ずっとずっと恋をしています。

同じ気持ちの人たちとつながっていたい。

アラフィフ。老後が心配。
でも死ぬまで韓国映画を抱きしめているぞ。

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