オカルト ホラー

キム・ハヌル主演! これほど良質なホラー映画もめったにない!「霊 -リョン」 (2004) 見てあげてや~。

2020-02-06

いじめた側は忘れても、いじめられた側は決して忘れない。あなたも同級生のあの大人しい子をいじめてやいませんか? やめてあげや~。

作品情報

  • 評価 4.5★★★★☆
  • 制作 2004年
  • 観客動員数 ソウル:288,631 人、全国:1,108,769人
  • 2004年興行成績 33位(ソウル基準)
  • 上映時間 98分
  • 公開 韓国:2004年6月17日、 日本:2005年8月20日
  • 原題 령(霊)
  • 英語題 Dear Friend
  • 監督 キム・テギョン
  • 脚本 キム・テギョン
  • 出演 
    キム・ハヌル---ミン・ジウォン
    リュ・ジン---ジュノ、ジウォンの大学の先輩
    ナム・サンミ---ハン・スイン、サンニム女子高の同級生、いじめられっ子
    シニ---シン・ミギョン、サンニム女子高の同級生、精神病院へ入院&死亡
    ピン(チョン・ヘビン)---キム・ウンソ、サンニム女子高の同級生、死亡
    イ・ユンジ---キム・ウンソの妹、キム・ウンジョン
    チョン・ヒジュ---オ・ユジョン、サンニム女子高の同級生、写真部、死亡
    チェ・ラン---スインの母
    キム・ヘスク---ジウォンの母
    キ・ジュボン---刑事


あらすじ(ネタバレなし)

どうして自分には過去の記憶がないのだろう。ミン・ジウォン(キム・ハヌル)は不思議だった。ある日、目が覚めたら病院のベッドで寝ていた。高校時代の記憶がなく、新しい自分になっていた。通院とリハビリを繰り返して大学に入学したが、自分の過去のことを知っている人は誰一人いない。ジュノ(リュ・ジン)が大学で唯一の知り合いだ。兵役帰りの彼とはなぜか気が合う。

家に帰ると母がまた泣いていた。父が亡くなってから家に閉じこもり、泣いてばかりの毎日を送っている。こんな生活にはうんざりだ。ジウォンは外国へ留学することを決めた。母は親を捨てていくなんてとジウォンをなじるが、過去の記憶を取り戻す労苦よりも、外国で新しく挑戦する時を刻みたかった。自分を責めてばかりの母のいない所で。

留学する日が迫った時、ある学生がジウォンを訪ねてくる。彼女の名はオ・ユジョン(チョン・ヒジュ)。ジウォンの高校の同級生だという。「ジウォン、あなたはどう?」会うなり、ユジョンは奇妙なことをジウォンに聞く。同級生のウンソ(イ・ユンジ)が台所で奇怪な死を遂げたという。ひどく怯えたユジョンと別れた翌日、ジウォンはユジョンもまた写真部の部室で死体で発見されたことを知る。

ウンソが亡くなり、ユジョンまで怪死するとは。最近悪夢にうなされたり、黒い影を目にしていたジウォンは悪い予感を覚える。二人は自分の高校時代の同級生だと言った。ジウォンは勇気を出して、高校時代に何があったのか知ろうと決意する。同級生シン・ミギョン(シニ)を訪ねるが、ミギョンは精神病院に入っていた。水や暗やみを異常に怖がり、ジウォンを見ると怯えたように興奮しはじめる。ジウォンはミギョンに自分の夢に夜ごと現れる人は誰なのかと問い詰めると、彼女は「スイン」とだけ答える。

スイン(ナム・サンミ)もやはり高校時代の同級生だった。彼女の家を訪ねたが、スインは行方不明になって1年が経つと母親が答えた。ジウォンはスインを覚えていなかったが、彼女との間に何かがあったのだということは分かった。事故なのか? スインはどこにいるのだろう? ジウォンはスインを探し出せれば自分は何者かを知ることができ、悪夢から解放されると直感した。

ジウォンはジュノと連れ立って、スインが最後に目撃された川に向かう。
そして川辺に立ったジウォンはすべての記憶を思い出すことになる。


ホラーを作らせたら右に出るものはいない! キム・テギュン監督が贈る良質な女子校生ホラーストーリー。思春期真っ只中の女子生徒は、怒りや憎しみを投げ散らかし放題! 仮想敵を作り出しては吐け口を求める女子高生こそは、まさにホラーの骨頂。多感な彼女たちの中に潜む天使と悪魔を26才のキム・ハヌルが熱く演じた。なぜこんなすばらしい映画が一つも映画賞を受賞しなかったのか?! 世界の七不思議でありまする。てけてんてん。



※この先は、ネタバレが含まれます。未だ御覧になってない方は読まないことをお勧めします。


丁寧に丁寧に作られた映画。98分の中に奥深いストーリーが詰まっている!

2005年に日本公開された映画だが、まったく古さを感じないどころか、あの当時と同じ感動が甦ってくる。つくづくすばらしい映画なのだ。

この映画のすばらしさは、脚本が丁寧に作られていて、エンディングに含みがあり、チープな感じがまったくしないところだ(チープはチープでそれなりに楽しんじゃうのだが)。そして後述するが、何といっても過去と現在のジウォンを演じ分けたキム・ハヌルの魅せる演技力であろう。

韓国映画は日本映画と比べて長いのが通常であり、100分を超す作品は多いが、この作品はなんと98分とコンパクトな上に非常に丁寧に作られている。それでいてこれだけ観客を楽しませるのだから、ホラー映画の鬼才キム・テギョン監督、これぞコリアンホラーの傑作作っちゃいましたってかんじ。

心から拍手したい。いやー、すばらしい。


左から、キム・ヘスク、リュ・ジン、キム・ハヌル

主役のキム・ハヌルはほんとうにこの映画がんばったと思う。すばらしかった。

記憶を失う前のジウォンと失った後のジウォンを演じたわけだが、二人のジウォンは性格が全く異なるジウォンであり、その意味では一人二役をこなしている。父親を失ってからのジウォンの荒れた心。ぶつける当てのない憎しみが弱いスインへと向けられていく様は見ていて目をふさぎたくような嫌悪感すら覚えた。学校で毎日にわたる幼馴染からのいじわる。涙を浮かべて耐えるスイン(ナム・サンミ)が気の毒で仕方なかった。

人はこれほど簡単に記憶を忘れてしまうのか?と思ったが、ビリー・ミリガンのように性的虐待を受けた子が自分を守ろうとして多重人格になるのと同じで、強烈なショックがあると人は自己防衛のために記憶を消してしまうのだろう。その点、見ていて違和感は感じなかった。


キム・ヘスクさん、あなた一体どれだけ作品に出てるの!? それぐらいこの人は各所で引っ張りだこだ。わたしにはキム・ヘスクといえばどうしても「冬のソナタ」のユジンのお母さん役が脳裏から離れない。良妻賢母なオモニの印象が強いが、この映画でキム・ヘスクさんが演じたのは狂気に満ちた母親の役。

夫を亡くし、酒におぼれる毎日を繰り返す中、最愛の娘ジウォンが自分を置いて外国留学するという。さみしさに半狂乱になる母。そのさみしさに付け込んだスインの悪霊に体を乗っ取られ、最後は娘ジウォンを追いつめていくことになる。最後のシーン、何もかも終わったと帰宅して母親を抱きしめるジウォンに、

「ナニガオワッタノ。コレカラガハジマリヨ」

とつぶやくヘスクさんの怪演には、鳥肌がささくれるように立ちまくった。ちびりかけたわ!


③他にもコメントしたい役者さんは多々いるが、最後にジウォンの相手役リュ・ジンさんについて言ってみよー。
ジウォンを陰に日向に守り続けたジュノ役のリュ・ジン。いい男だなーと思ってあの当時も見ていたが、調べてみると本作以後は映画出演は「青い自転車」しかなく、もっぱらテレビドラマに出ている。しかしそれも2013年を最後にぱたりと露出していない。2006年スチュワーデスさんと結婚して子供もできたらしいが。てことで、俳優としては惜しいですね。

ハンサム&紳士過ぎて、ハ・ジョンウのように毒がないのがいけないのか。
あまりにもユ・ヨンソクと似ているから、いつか二人で父子を演じてほしい。誰か企画つくってくれ。たのむ!

「霊-リョン」のお気に入りのシーン!

1.26才のキム・ハヌルの美顔アップショットが多い!まさにお宝映画!

この映画、ほんとうにハヌルちゃんのアップショットが多いお宝映画だ(※勿論、いまでも我らのハヌルは美しいですが)。

題して、「画面からはみでるハヌルちゃんが多いホラー映画 No.1!」


ハヌルちゃん26才の時代といえば、映画「私を信じないでください」やドラマ「ガラスの華」で世間を席巻していた頃だろう。なんと彼女は2000年から2004年まで、毎年なんらかのメジャー映画賞を受賞しつづけている。

あの当時はキム・ハヌルといえばこのハヌルちゃんだけであり、ゴルファーのハヌルはいなかったのだ! 今は検索するとゴルファーのキム・ハヌルがごろごろと出てくるので紛らわしいが。


2.ジウォンが川に飛び込み、底に沈んでいるスインを抱きしめるシーン。

要するにこの映画、いじわる期のジウォンと善人のジウォンがいて、善人ジウォンがいじわるジウォンの悪事を暴いて、スインの悪霊に罪を悔いて謝り、赦してくれないから手首を切るという映画だ。

記憶を失った善人ジウォンが川に飛び込み、スインの死体を見つけて抱擁する場面はまっこと秀逸だ。なんてことをしてしまったのだ自分は。過去にまっすぐ向き合うジウォンの姿は美しい。そもそも、いじわるジウォンが川で溺れた時、スインを踏み台にして自分だけ助かろうとしたのだ。スインは自らを犠牲にしてジウォンを救って死んでしまった。ジウォンの独りよがりな行動が悲劇を生んだのだ。

川底で二人が対面する瞬間は、悲哀に満ちた芸術が爆発している!
ヒ素の含有量が多いこの川は、1年前に溺死した死体でさえきれいなまま残るという設定だから驚きだ。いやいやいや、それでいいのだ。絵的にこのシーンはすばらし過ぎて、死体のスインと川の中でジウォンが抱き合う美しさは、言葉を失うほど圧巻だ。

スインを演じたナム・サンミさん、鼻から息がもれるかと心配したが大丈夫。鉄壁な死体になりきってくれた。苦しかったろうに感謝だ。南無。

(※当然ですが、この川で抱き合うシーンは、プールの中で安全を確認しながら撮影されました)

3.荒れ狂った悪霊に立ち向かうジウォンの姿。スインの愛がジウォンを助ける。

このシーンも最高だ!
この映画は最後に怒涛のように感動するシーンが連続するから、お正月の福袋のような映画だ。

非力なジウォンがまさに悪霊に襲われようとするまさにその瞬間、彼女は静かに顔を上げ、

「今までは自分ではなにも決められなかった。
 だけど、今はちがう。あなたはわたしのたった一人の友達だった。
 ごめんねジウォン


とつぶやき、手首をシュっと切る。

この、ジウォンが「ジウォン」と呼びかけたところが奥深くてわたしは大好きだ
当時、私はこれはジウォンが勇気を出して放ったセルフだと思っていたが、後からそうではないことに気づいた(推測)。

これは、ジウォンに取り憑いたスインがつぶやいたセリフではないのか監督のインタビュー等まったく読んでいないので、あくまでも自分の推測です)。

つまり、信じていたたった一人の友達に裏切られた悲しみ故、鬼と化したスインだったが、ジウォンを思う気持ちは変わってはいない。死んでもなお、揺れ動くスインの心(ええ子やのう)。しかし悪魔はスインの悲しみにつけ入り、スインを利用してジウォンの体を奪おうとした。スインの霊もまた悪魔に利用されていたということだ。ジウォンが爪をかむようになったり、薄化粧になったりと、少しずつ生前のスインと似てきたのは、たしかにスインの悲しみが深かった故に起きた現象だ。ジウォンのスイン化である。


最後、手首を切った瞬間、悪魔がつんざくように叫び、スインの体にすっと戻っていったのは、悲しみと憎しみがスインから離れて暴走していたことの証明であろう。主(あるじ)のスインでさえ、自分をコントロールできなかったのだ。倒れるスイン。すべては大好きな親友ジウォンを守るために、良心スインが自分の悪魔と闘って勝った。ジウォンの体はほとんど悪魔スインに奪われていたが、ここで初めてジウォンに返還されることになる。

なんとも深い展開だと解釈している。
この映画すばらしい!情にあふれているから好きだ!

4.それでも恐怖を残すこの余韻はなに? 秀逸すぎて怖いのよこのエンディングシーン!!!

ほんとうにこの映画最高だ! 最後の最後まで良質な恐怖を与え続けてくれる。
この不気味なくらいのホラー余韻を、そつなく残す演出に、悶えた!降参だ!

ジウォンが退院し、悪霊と闘った自宅に戻る。
そこは陽気に満たされ静かで、不気味な影は何一つ残っていない。まさにすべてが終わった感がする。平和な日常がそこにあった。

ジウォンは、街に出掛けスインの母親が働く市場へとやってくる。

自分の犯した罪は一生消えない。この人から娘を奪ってしまったのだ。柱の影からそっと母親を見つめるジウォン。その瞬間、ジウォンが何気にとったしぐさに、観客はぞぞぞと恐怖を浴びる。

彼女は無意識に爪をかみ、母親は憎しみをこめて魚頭をぶすりと切り落とす。まるで人の首を切り落とすかのように。


げげげ。悪魔は去ったのではなかったのか?! 依然ジウォンを手離さないスインの霊が見え隠れする上に、母親のジウォンへの憎しみがこれでもかと照らし出される。悪魔はここあそこにいて、小さな人間どもの憎しみに付け入ろうと淡々と狙っている。

物語は終わっていない。
鬼ごっこの歌が聞こえてきたら、後ろを振り返ってはいけない。


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毒女 悦子

韓国映画をみてハッと胸をわしづかみにされたことありませんか?
悲しい時つらい時に韓国映画を見て、心がほんのすこし救われたことありませんか? しあわせを感じたことありませんか?

わたしはたくさんあります。

韓国映画のもつ奥深さになぐさめられたり、息もできない胸苦しさを覚えたり、一日中その余韻に浸ったり、夢の中まで追いかけられたり。 韓国映画に流れるあたたかいもの、残忍なもの、切ない永遠のものに、 ずっとずっと恋をしています。

同じ気持ちの人たちとつながっていたい。

アラフィフ。老後が心配。
でも死ぬまで韓国映画を抱きしめているぞ。

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