ラブロマンス

(元KARA)パク・ギュリ主演、猫の瞳が優しく教えてくれる「サヨナラの伝え方」(2016)

2019-12-07

猫に怪しい中年女性の魂が入っている。そんな猫と対話できる男。楽しくて切ないキャットフルストーリー!

評価 3.0★★★
●原題 어떻게 헤어질까(どのように別れるか)
●2016年製作
●上映時間103分
●監督・脚本 チョ・ソンギュ
●出演
ナム・ナビ、ナム・ダルン、日本料理店「鮨丁」従業員(ソ・ジュニョン)
キム・イジョン、旅行雑誌社の記者・グルメ担当(パク・ギュリ: 元KARAのメンバー)
ヤンマ(イジョンの猫)
チャンマニ(ピョンイルの猫)
ピョンイル、ナビの先輩(キム・ガンヒョン)
ナビの母(チョン・ソンエ)
マ・ジャンスン、イジョンの母(イ・ヨンナン)
チョ部長、イジョンの上司(ペク・トビン)
チャンマニ、ピョンイルの猫(イ・ギュフェ)
チョン・ドゥリ、鮨丁店長(カク・トンチョル)
チョンミン、イジョンの同僚(チェ・ヒソ)

あらすじ
隣りに引っ越してきたのは猫好きの男だった。イジョン(パク・ギュリ)は普段は警戒心の強いヤンマ(猫)が男になついているのに驚いた。男の名前はナム・ナビ(ソ・ジュニョン)。少年のように純粋で誠実なナビに惹かれていくイジョン。ナビは日本料理鮨屋で見習いとして働いているという。

一方、気さくで美しい隣人と知り合いになったナビもこの出会いにときめいていた。ナビには変わった能力があった。猫についている魂と人間のように言葉を交わすことができるのだ。ナビはヤンマに中年の女性(イ・ヨンナン)の魂が宿っていることを知っていたが、イジョンにはだまっていた。変人扱いされるのを恐れたからだ。

ある日、イジョンはお酒の取材に酒蔵を訪ねるが、そこで恋に落ちる魔法の酒を紹介される。一本買って持ち帰り、ナビに一緒に飲もうと誘うイジョン。初めは遠慮していたナビだが、ヤンマおばさんに目で怒られ、一緒にイジョンと飲む。魔法のせいなのか、その夜二人は初めて長いキスをする。

二人がつき合い始めてまもなく、ナビはヤンマが病魔に侵されているのに気づく。医者の話では余命数ヶ月だという。ナビとイジョンはヤンマを何とか救おうと必死で考える。ネットで検索した漢方を試したり、科学的根拠のない如何様師にすがろうとする。

ヤンマをこのうえなく愛するイジョンの悲しみは深い。あとわずかしかないヤンマの命に二人はどう向き合っていけばいいのか。猫の正体を知る心優しいナビは悲しむイジョンとヤンマの間で心を痛める。人間と猫が、同じ目線で生死を見つめる。みずみずしい感性に訴えかける作品である。



※ここから先はネタバレが含まれます。未だ観ていない方は読まないことをお勧めします。


発想が面白い。猫と対話できるナビ。対話できるからこそ苦しむ時もある。

発想が面白い!と思ったこの映画。
幼い頃に飼っていた障害猫に死なれ、あまりのショックに数日落ち込み、その日をきっかけに猫と対話ができるようになってしまった男と、猫に入り込んだ中年女性との会話が、なんとも切なくて胸に残るのだ。とてもよかった。

ネタばらしをすると、その中年女性とはイジョン(パク・ギュリ)の母親であり、自分の死後、娘を心配するあまり飼い猫ヤンマの霊魂として宿ってしまった。では元々あったヤンマ自身の霊魂はどこに行ってしまったのか? いかに動物とはいえ霊魂は宿っていたはずだ。とつっこみたくなるのだが、そこは、「複雑な事情があるの」と話すのを避けたヤンマおばさんの言葉に免じて許そう。

たぶん、娘イジョンの今後を確かめてから、あの世に行くことを神様に約束して、期限付きでヤンマの霊魂に宿らせてもらっていたのだろう。イジョンがナビという優しい男性を見つけたこと、また将来のお姑さんの人柄を確かめると、ヤンマおばさんは神様との約束通りあの世に去っていくのだ。「死ぬことなんか怖くないの」というその言葉通りに。

ヤンマの魂がイジョンのお母さんだということを知っているのはナビだけである。そしてヤンマの命はあと残り少ない。もしもイジョンがそのことを知れば、人生において二度も最愛の母を失うことになる。ナビはそんなことはイジョンに話すことはできない。

この映画の面白さの一つは、二人の間で苦心するマスオさん的ナビの姿であろう。ヤンマを何としても死なせたくないイジョンと、この世を去る準備が出来ている母心。その間に立って、二人とも傷つけないように最良の方向を模索しようと腐心する優しいナビ青年の姿である。さすがヤンマおばさんが直観したとおりの好青年だった。

演じたのはソ・ジュニョン。「さまよう刃」では熱血刑事を、「スピード ~僕たちの青春白書」では陸上選手を夢見る学生を好演した。17才の頃、明洞に遊びに行ってた時に路上スカウトされて以後、ドラマや映画で活躍している。まさに隣りのお兄さん的雰囲気が、日本でも人気を博しファンミーティングも開かれている。日本人女性はこういう韓国俳優さんを好きな人は多いだろう。日本的な情緒によく通ずる感じがする。韓国だけでなく、日本にも演技の場を広げてほしい。

イジョン(パク・ギュリ)「サヨナラの伝え方」

一方、パク・ギュリについては元KARAのリーダーとしてあまりにも有名であるが、ギュリさんについてよく調べると、歌手というよりは役者として5才の頃にすでにデビューされてたんですね。2016年に所属会社との契約満了ということで女優に転向されてから初めての出演映画がこの作品だそうです。

正直言うと、ギュリさん演じたイジョンは、引っ越してきた男にいきなり「今度お茶でもご一緒に」とか、「合鍵の暗証番号教えるから猫の世話お願い」とか、到底普通の感覚ではありえない女性を演じていたことから、この映画一体どうなるのだ???と心配した(ヤンマ(猫)がなついたもんだから男を信頼しちゃったという屁理屈を後付けしていたが)。この部分は脚本が残念だと思った。

それでも、ギュリさん自身がもつ、気さくだが、弱みを人に見せない強く振る舞う女性の感じがイジョン役とぴったり合っていて、映画が進むにつれて違和感なく見ることができた。

正直、まだ役者として特段にレベルの高いものは感じないが、元KARAというブランドと若さゆえに人気がある今を超えて、今後どんな活躍ができるのか。とにかく韓国という枠を超えて、ワールドワイドで活躍してほしい。知英さんのように日本でも是非! 日本人ファンは韓国製をボイコットなんかしない。あなたを温かく迎えるよおー。

・・・

イ・ヨンナンとチョン・ソンエ! 二人の熟年女優のすばらしい演技に感動する

左) イ・ヨンナン     右)チョン・ソンエ

主役を演じたパク・ギュリとソ・ジュニョンのみずみずしい演技に加えて、わたしがひときわ注目したのは、イ・ヨンナンチョン・ソンエという熟年女優たちの存在感だ。経年ならではの生み出された演技力。視線ひとつ、言葉の間合いひとつ、どれをとっても素晴らしい。しみじみとした存在感に涙が出るほどだった。

イ・ヨンナンさんに関して言えば、チャン・ソヌ監督「つぼみ 꽃잎」(1996) での母親役の演技が高く評価されているそうだ(第41回 (1996) アジア太平洋映画祭最優秀女優助演賞受賞)。光州事件を扱った重い作品だそうだが、日本ではDVDの発売がされていなく残念である。

しかし、韓国語が未熟なわたしでもYoutubeにアップロードされているものを見るだけでも、相当にシビアな作品内容であることが伝わってくる。人間の内面をえぐる、そして「国家に挑戦した映画」と例えてもいいだろう。非情なる緊迫感が伝わってくる。

動画では、1:13:48 あたりからイ・ヨンナンさん登場する。

チョン・ソンエさんに関して言えば、「宮廷女官 チャングムの誓い」「子猫をお願い」「親切なクムジャさん」とこれも枚挙に暇ないほど出演作品は多いが、映画の中で総じて言えば、この作品が一番存在感が光っているように思えた。

誰か助けて。映画を観ている最中から、みんなが猫に見えてくる。まさにキャットフルストーリーだ!

映画を観ている最中から、どの役者も猫に見えてく マンチカン、スコティッシュフォールド、ロシアンブルー・・・にゃんこだらけだ。不思議な映画だった。

ナビの母親は自分の息子を「人間なのに猫に見えるのよ」と言い、イジョンの母もナビを「あなたのような猫はめずらしいわ」と言う。

ナビを乗せたタクシードライバーが言ってた言葉も心に残る。
「猫は人みたいでしょ。あまりにも人間っぽくて怖くなるんです」

そうなのだ。もしかしたら、人間が猫に入ったのではなく、猫が人間に入ってこの映画も宇宙も構成されているのかもしれない。わたしたちすべて元々は猫なのだ。猫の魂が人間に入っているから、人間は猫を見ると癒されるし、懐かしい気持ちになる。ナビのようにある日突然猫語を理解しはじめる人も登場するのだ。

イジョンが目をつむり、願いを込めて心を集中させた瞬間、目の前に猫になっていた母親が現れる。会いたかった最愛の人だ。抱きしめ会う二人。猫と人間、言葉を交わさずとも通じ合う心がそこにあった。

われわれはオール猫である。
猫力は宇宙を超えてつながっていく。にゃー。

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毒女 悦子

韓国映画をみてハッと胸をわしづかみにされたことありませんか?
悲しい時つらい時に韓国映画を見て、心がほんのすこし救われたことありませんか? しあわせを感じたことありませんか?

わたしはたくさんあります。

韓国映画のもつ奥深さになぐさめられたり、息もできない胸苦しさを覚えたり、一日中その余韻に浸ったり、夢の中まで追いかけられたり。 韓国映画に流れるあたたかいもの、残忍なもの、切ない永遠のものに、 ずっとずっと恋をしています。

同じ気持ちの人たちとつながっていたい。

アラフィフ。老後が心配。
でも死ぬまで韓国映画を抱きしめているぞ。

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