スリルとサスペンス

最高に退屈な映画!「7年の夜」(2018) チャン・ドンゴン主演

2019-09-26

チャン・ドンゴンの父親役があまりにもサイコ走ってて喜劇にすら見える

作品情報

●評価 2.0★★
●制作 2018年
●上映時間 123分
●原題 7년의 밤(7年目の夜)
●監督 チュ・チャンミン
●脚本 チュ・チャンミン、イ・ヨンヨン、キム・ユピョン
●出演
チャン・ドンゴン、リュ・スンリョン、ソン・セビョク、コ・ギョンピョ、イ・サンヒ、イ・レ

あらすじ

ダムの管理会社で働くチェ・ヒョンス(リュ・スンリョン)はある夜、林から飛び出してきた女の子セリョン(イ・レ)を車で轢いてしまう。罪がばれるのが怖くなり、まだ息があるにも関わらずセリョンを窒息させ、湖へ投げ込んで証拠隠滅をはかる。

セリョンの父で医者のオ・ヨンジェ(チャン・ドンゴン)は、娘の命を奪ったヒョンスを7年の歳月をかけて復讐をする。



※この先はネタバレが含まれます。未だ視聴されていない方は、読まないことをお勧めします。


チャン・ドンゴン、リュ・スンリョン、ソン・セビョク。すばらしい役者がそろってるのにつまんない!

なにかいいところを見つけて「これよかったよ!」ってレビューを当然書けると思っていたのに、書けない。わたしの感性がにぶいのか。

困ったな。ウソを書くこともできないし、酷評書くのも映画を作った人たちに申し訳ない気持ちもするし。でも、やっぱり・・・正直になります。

はい。つまんなかったです。
こんなにつまんないのもめずらしいほど。

映画がつまらなかったという時は、大抵の場合、次の二つの内どちらかに原因があると思う。

①演技が下手
②脚本の失敗

今回の場合は、出演者はチャン・ドンゴンリュ・スンリョンソン・セビョクと、演技力のあるすばらしい役者がそろっているのにつまらなかったってことだから、のパターンですね。脚本がすべりにすべって月まで行ってた。

①演技が下手の場合と②脚本が失敗した場合、多くの人は「臨場感がもてず、感情移入ができなくなる」。
この映画もまさにそうだった。臨場感がなくなり感情移入ができなかったので、この7年の夜ワールドに浸ることができなかった。映画を観ている間、無意識にストレッチをしたり、爪を切ったりする自分がいた。なにやらせるんじゃ!?

あらすじだけを読むと、父親役のチャン・ドンゴン様に肩入れして見ることになると思いきや、まったく感情移入ができなかった。

それもそのはず。ドンゴン様の演じる父親がサイコパスばりの、血も涙もない冷酷な医者役で、別居中の妻ハヨンとよりを戻すために娘を利用し、日常的に虐待しつづけているような男だったからだ。この世で最低のクソ男です。

このやろう!びしっばしっ!
やめてん、ドンゴンパピー、叩かないで!

ドンゴン父は、娘が内緒で母親と連絡をとっていることが気に食わず、自分のベルトをムチ代わりにして娘セリョンを打ちまくる。セリョンは恐怖のあまりおもらしをする。足はあざだらけで、ムチで撃たれている間、壮絶な叫び声が闇夜をつんざく。これってひどくない?


たしかに、セリョンを車で轢いたのはヒョンスであり、これを殺して湖に捨てたヒョンスは悪質な殺人犯だ。これにかんしては援護しようとは思えない。

だが、そもそもセリョンが車にはねられたのはドンゴン父にベルトで折檻(せっかん)される恐怖と痛さに耐えられなくて、家を飛び出したことに原因がある。

セリョンは逃げ込んだ近所の優しいお兄さんスンファン(ソン・セビョク)にも助けてもらえず、森をさまよい、車道に飛び出した時にヒョンスに轢かれた。
つまり、ドンゴン父が娘を虐待して追いかけたりしなければ事故は起こらなかったとも考えられる。

セリョンをはねたヒョンス

そう考えると、ドンゴン父よ、おまえもちょっとは責任を感じろよという気持ちになる。人に責任転嫁して復讐しようって考える立場ではないのだ。

こんな男が、娘を殺されていざ復讐してやるぜ!と立ち上がられても、「あんたもやっとったがな」と世間からのツッコミは当然入る。

この後、娘が亡くなったショックで愛する妻ハヨンも自殺するのだが、この妻はドンゴン夫を生前「あの人はほんとうの悪魔よ」と周りに言うぐらいだから、相当のサイコパスだったんでしょう。結局、妻も娘も失ったドンゴンなのに、彼に同情する気持ちはゼロでした。

こんなドンゴン演ずるオ・ヨンジェ医師には、感情移入ができなくてできなくて、ほんとうにつまらなかった。むしろ、人を殺めたと悔いて、毎日眠れない日々を送っているヒョンス(リュ・スンリョン)のほうが人間として共感できるところがあった

でもまぁ、この映画って善人・悪人を前提とした「復讐物語」を目指したものでなくて、どっちもクズ人間の、どーしよーもない二人を基本とした「サイコちゃんの逆恨み物語」として脚本が練られたと解釈するならば、これはこれでいいのかも。

だが、観客はなんだかもやもやするのですよ・・・すかっとしない。
最後にどんでん返しがあるのかと期待もしたが、それもなかった。

過去と現在が錯綜する。わたしの頭も混乱する

加えて、この映画はヒョンスの幼い頃への過去回想が頻繁に出て来る(ちなみに、ドンゴン父の過去回想は一つもないので、ドンゴン父が若い頃はどういう人だったのか全く分からない。なので、親近感がわかず精神的に味方になれない。あまりにもバランスが悪い)。

ヒョンスが小さい頃荒れた家庭で育ったこと、ベトナム戦争帰りの父は障害者で暴力をふるい、母は自殺した。村に古井戸があるが、父はそこにはまって死んだことなど、ヒョンスを呼ぶ父親の声が幻聴となって出てきたりする。

ヒョンスやー、ヒョンスやー、と幽霊のように。

サダコが出て来るような古井戸と、そこで死んだ親父の幻覚

このヒョンスの父親への回想シーンと、セリョンを轢いた回想シーンがごちゃまぜになって、観客は訳がわからなくなる時がある。ヒョンスも映画の中で幻覚幻聴に悩まされて夜な夜なふらふらと出歩き、奇声を発するのだが、わたしたちもあっちこっちへと回想される度に、頭が混乱した。

そもそもヒョンスの幼い頃への回想にこれだけ時間を割く理由がよくわからなかった。セリョンを轢いたことへの後悔回想ならまだしも。

拝啓、愛してます」「王になった男」のチュ・チャンミン監督が脚本も手掛けたそうだが、出来栄えの落差にびっくりしている。体の不調があったのか、それとも天才にしか分からない何か意図があるのなら、教えてもらいたい。

ドンゴン父のサイコ入ってますシーンを振り返ろう!

では、愛すべきチャン・ドンゴン様のはっちゃけサイコぶりを振り返ってみたいと思う。どうせ映画を見るなら楽しもうこんなむちゃくちゃなドンゴン様、滅多に見られないかも。

前に行けと合図する手。でも譲らず並走し、前からトラックが来る。

①まず、序盤、ドンゴン父が登場するシーンだ。


夜の山道、ヒョンスリュ・スンリョン)が乗った車がドンゴン車に道を譲ってもらったが、いざ追い抜こうとするとドンゴン車は追い越しを許さず並走し、ヒョンスは前から来たトラックと正面衝突しそうになるシーン。

ドンゴン父、まったく登場したてからサイコさ爆発してます。

②次に、先ほども挙げましたが、娘セリョンをベルトで叩くシーン。

髪の毛が乱れるほど叩きまくる姿に唖然とする。叩かれた方は、相当の痛みを伴うはずだ。ドンゴン父の頭の剃り込みも一段と深くなってきてますが、役柄作りのせい?それとも経年?だれか知ってたら教えてください。

小さなことで髪を振り乱すほど怒りまくる。

③死んだセリョンの魂拾いの儀式の日

死んだセリョンの魂拾いの儀式の日、母親のハヨンもあまりの傷心の後、娘を追って自殺する。怒ったドンゴン父は、儀式に乱入して暴れまくるシーン。セリョンがかわいそう。死んでなお父親にこんな乱暴に扱われるのか。

なんでこんなシーンを入れたのか、監督の意図するもの意味不明。
だれか教えてくださーい。

魂拾いの儀式をむちゃくちゃにするドンゴン父。
サイコは気ままでいいな。

今作の名脇役たち ソン・セビョクさん、イ・レちゃん

イ・レちゃん

ソウォン/(願い)」(2013)や「犬どろぼう完全計画」(2014)のイ・レちゃん、少しずつ大人へと成長していく姿を見るのが頼もしいですね。あいかわらず演技がうまい。
今回は、実の父親にこれほどまでに虐待される娘の役。あとで復讐に燃えるぐらいだったら、生前もっと娘に優しくできないのか?と脚本にぶつぶつ。

ソン・セビョクさん

「母なる証明」では刑事役、私の少女では飲んだくれの義父を演じたソン・セビョクさん。今回の映画では、心配するくらい頬がこけていたのですが、潜水士ってそんな役作りがいるのでしょうか。私の少女では、あまりにも強烈な憎まれ義父を演じていたので、そのイメージがいまだにこびりついている。

この映画が伝えたかったもの。それは、サイコな親をもつと子供が苦労する!

レビューを書きながら、だんだんわかってきた。
この映画が言わんとすることが。

それは、サイコな親をもつと子供が苦労する!ということ。

自分のことしか愛せない父親(ドンゴン父)や後先考えない親(ヒョンス)をもつと、子供がその後の人生をずーっと苦労するということがようくわかった。

セリョンは親父に虐待されて、最後は交通事故で亡くなったが、一方ソウォンは生き残り、その後は生き地獄だった。サイコな親父が逮捕されて、親戚から家を追い出された後は、いじめられて転向したり退学したりして、人生をさんざん苦労した。


ソウォンが死刑執行間近である父親のヒョンスに面会に行った時、

「なぜ助けたんだ。
 僕一人のため数十人が死んだ。
 こんな(みじめな)人生のために
 なぜ助けたんだ」


ヒョンスは答える。
「私は、おまえの父親だから」

うーむ。監督はここで観客を泣かせようと企んだかもしれないが、私はまったく泣けなかった。
ここでこういう名言が吐けるなら、どうしてまだ息があるセリョンを窒息させて殺したのか。自分の息子を助けるためには他人などどうでもいいのか。それが父親として誇れることなのか。

困った親をもった子供は大変だ。


最後、父ヒョンスが監獄で首つり自殺をした。
監獄に親父の遺品をとりに行った帰りのソウォンの笑顔。これがすべてを物語っていると思った。

わたしならこの映画にはこんなタイトルをつける。
「サイコな親が死んだ日 --解放される子供たち!」

ああ、やっと親父死んだわ

以上。わたしの気ままで勝手な独り言でした。

このページへチップを贈る

「7年目の夜」(2018)
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

毒女 悦子

韓国映画をみてハッと胸をわしづかみにされたことありませんか?
悲しい時つらい時に韓国映画を見て、心がほんのすこし救われたことありませんか? しあわせを感じたことありませんか?

わたしはたくさんあります。

韓国映画のもつ奥深さになぐさめられたり、息もできない胸苦しさを覚えたり、一日中その余韻に浸ったり、夢の中まで追いかけられたり。 韓国映画に流れるあたたかいもの、残忍なもの、切ない永遠のものに、 ずっとずっと恋をしています。

同じ気持ちの人たちとつながっていたい。

アラフィフ。老後が心配。
でも死ぬまで韓国映画を抱きしめているぞ。

-スリルとサスペンス
-, , , ,

Copyright© 韓国映画に悶える女のブログ! , 2020 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.