スリルとサスペンス

アクションなしのイ・ビョンホンに惚れる!「エターナル」(2017)

2019-10-02

そこに立っているだけで惚れちゃう男--イ・ビョンホン。なにかが違う。

作品情報

●評価 4.5★★★★☆
●制作 2018年
●上映時間 97分
●原題 싱글라이더(シングルライダー)
●英語題 A single rider
●監督 イ・ジュヨン
●脚本 イ・ジュヨン
●出演
イ・ビョンホン、コン・ヒョジン、ソヒ (元Wonder Girls)、ヤン・ユジン他
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あらすじ

証券会社に勤めるカン・ジェフンイ・ビョンホン)は入社以来優秀な成績を上げ、支店長まで昇りつめる。高級マンションに暮らし、美しい妻と可愛い子供にも恵まれ、順風満帆な人生を歩んできた。

しかし、本社では倒産すると分かっている会社の債権の販売を促進した結果、市場に大量の不良債権が出回ることになる。昔からの顧客に大きな損失を与えてしまったジェフン。会社は資金繰りに窮し、倒産する。

知らなかったとはいえ、自分を信じてくれた顧客に損をさせ、信頼を失ってしまったジェフン。お詫び行脚の日々を送る内、度重なる疲労と不眠から精神病院にも通うことになる。

ふと、ジェフンはオーストラリアに離れて暮らす妻スジン(コン・ヒョジン)と息子ジヌ(ヤン・ユジン)に会いたくなる。2年前、豊かな将来を夢見て、幼少から英語に慣れておくべきだと妻子をオーストラリアに送り出したのだ。時折連絡はとってきたが、2年も会っていない。どうしても会いたくなった彼は、オーストラリアに会いに行くことにする。

さて、シドニー空港に着いたが、どうすればいいのか分からない。すると韓国人らしい女の子ジナがバックパックを担いでバスに乗り込もうとしている。自分と行先が同じだ。ジェフンも慌てて彼女の後を追いかけるように乗り込む。ジナは途中下車し、自分は妻子の家の近くまでバスに乗る。

やっと家に着いたジェフンは、家からもれる灯りとにぎやかな笑い声に戸惑う。妻と息子以外の誰かがいて、あたたかな空間が作られていた。ジェフンは妻が2年の間にだれかと新しい人生を歩みはじめたのではと疑いはじめる。近くの安宿に泊まり、妻と息子の様子を探ろうとする。そうする内に、ジェフンは衝撃的な事実を知ることになる。

イ・ビョンホンとコン・ヒョジンの組み合わせなら当然見たくなる!

ジェフン(イ・ビョンホン)

イ・ビョンホンといえばアクション映画だ。アクションで彼が格好いいのは当たり前だ。テコンドーで鍛えた筋肉美、バネのようにしなる背骨、忍者のような速さ、すべてが絵になる。

でも、アクションなしの映画も当然見たいと思う。今回は、久しぶりにアクションがない映画で彼がどんなふうに演じるのか楽しみで仕方なかった。演技派イ・ビョンホンが見られるのだから。

ああ。ノンアクションでもやはり彼は格好よかった。

証券会社の市井のサラリーマンを演じていたが、わたしにはどうしても彼が格好よく見えてしまう。スーツにノーネクタイというシンプルな装いなのに、そこに立っているだけで彼は特別なのだ。

背筋のラインがきれいに見えて、体のシンがぶれずに真っすぐ歩く真っすぐにだ。どこか違う。威圧感がないのに隙(すき)がない。長年体を鍛えてきた人とそうでない人の差なのか。もって生まれたスター性ゆえか。

イ・ビョンホンはどう転んでも美しい。人の目を引く何かがある。

コン・ヒョジンさん

コン・ヒョジンさんは、「ミスにんじん」では偏屈で気難しい主役を、「今、このままがいい」ではシン・ミナのお姉さん役を演じ、すばらしい演技を見せつけた。他ドラマにも多数出演されていて、ほんとうに実力のある役者さん。日本でいえば、樹木希林さんのような唯一無二の存在。あまりの存在感に、わたしはこの人が出る作品はすべて見たいと思うほどだ。

今回は、イ・ビョンホンと夫婦役で、子供と二人だけで英語を身に着けるためにオーストラリアで暮らすという役柄。

ヒョジンさんは役柄でいくらでも顔の雰囲気を変えられる人なので、今回も見た瞬間だれだか分からなかった。コン・ヒョジンさんが出演するということは知っていたが、イ・ビョンホンの妻役だったのか。しかも全然雰囲気が違う。痩せている上に、こんなに背が高かったのか。きちんとミセスの顔になっている。いやはや、女優さんの七変化には驚かされる。

この二人が出ている映画はどんな最後が待ち受けるのか。
途中から楽しみを感じはじめた。



※ここから先はネタバレが含まれます。未だ視聴されていない方は、読まないことをお勧めします。


こんなに観客を我慢させて我慢させて我慢させる映画もめずらしい! 苦行そのものだー!

正直言って、イ・ビョンホンコン・ヒョジンが出ているのだから、展開に飽きが来ないものだとばかり思っていたら、面食らった。

禅寺で修行しているのかと錯覚するぐらいの我慢我慢の行がつづいた。
展開が遅く、不可思議なくらいいらいらした。
なんだ?この妙なリズムは? 不安になるぐらいの間合いだ。
なにかが噛み合わなくて、なにかがひっかかる。でもそれが何なのか分からないのだ。

おまけに、精神病院に通院している役柄とはいえ、ビョンホンの顔色もじつに悪い。しじゅう暗くて表情はなく、言葉も沈みがちで、お通やに出てくる幽霊よりどんよりしていて観ているこちらまで落ち込む。こんな暗いビョンホン様の映画って今まであったかしら?と考えたりしながら。

いやいやいや。きっと何かが起こるはずだ。何かが起こってそこから大きく展開していくはずなんだと自分を鼓舞するが、1時間経っても何も起こらない・・・。一体どうなっているんだ? 世紀の超駄作映画を借りてきてしまったのかわたし?! と大きく不安になった。

心にひっかかる場面をメモにとっていた。
順番に書いていくと、

①ジェフン
はオーストラリアの妻子の住所を、なぜ手に書いたのか。ボールペンで肌に書いたものなど簡単に水洗いで落ちてしまうではないか。なぜ紙に書かないのか?

②なぜ荷物をもっていないのか? 海外旅行なのに?妻が服ぐらい用意してくれると思ったのだろうか。

ジナを送っていったドーミトリーで、どうしてジェフンもすぐ寝ることができたのだろう。いつの間にジェフンはチェックインしたのか?

④どうして「父さん来たよ~。元気にしてたか~?」と堂々と家に入らないのか? 妻に愛人がいようが何しようが、このままで良い訳はないのだから、自分のためにも白黒つけないといけないでしょう。じれったい。

スジンが韓国のジェフンに電話をしつづけている。それをジェフンは聴いているにも関わらず家に入っていかない。この男はなにうじうじしとんねん!いらいらするわっ!

⑥家に忍び込み、寝ている妻の首を絞めようとするジェフン。しかしベッドの傍らには、オーストラリアへの移民申請書があり、そこには自分を含めた親子3人の名前が書かれてあった。それを見て泣き崩れる。しかし、そこでも妻に声をかけないジェフン。うがー。この男、終わってるな・・・ぼけたれ。


ここら辺りに来ても、わたしはこの映画がなにを言わんとしているのかが分からないでいた。メモはどんどんビョンホン様にたいしする「何しとんねん!」「つまらん」「ぼけ!!!」という叱咤であふれていた。アホだわたしは・・・。

自室でひっそりと自殺していたジェフン

最後の結末にようやくすべてを理解した私。驚愕といっていい。この作品の深さに感動!

結局、にぶい私がようやくすべてを理解したのは、ジェフンが韓国のマンションで自殺しているシーンになった時でした(超おそい!)

ってことは、今までのジェフンはなに???

ジナが殺されたことも、⑧殺害現場にジナが警察に止められず入っていけたことも、⑨ジナがこの世の人でなくなったからジェフンと会話ができたことも、⑩死んだチチ(犬)がジェフンについて来たことも、

謎だらけだったものが、ぜーーーーんぶこの時になってはじめて理解したのだった。

あまりのにぶさに自分でも驚愕したが、にぶかったからこそなおさら結末には驚いた。なんて深い映画なんだと、イ・ジュヨン監督、ビョンホン様、ごめんなさいと跪(ひざまづ)いた。


なるほど。ジェフンは韓国のマンションで自殺した後、魂だけ飛んでオーストラリアの妻子に会いに来たんだ、だから妻子と会ってハグもできず、大声で笑うこともできず、うじうじとひたすらうじうじと家の外でいじけていたのだと理解できた。

もう少しがんばって生きていたら、その手で妻子を抱きしめることができたのに。妻はこうしてオーストラリアから何度も電話して心配してくれている。オーケストラに就職して親子3人の移民申請までしようと夢みている。息子は、宿題で出されたKの頭文字に「カン・ジェフン」と書いている。


魂になったジェフンはこうした妻子を見てどう思っただろう。
激しく後悔しただろうか。それとも安心しただろうか。

わたしはどちらも正解だと思う。
つらさに耐えきれずこの世を去ってしまい、もう二度と肉体として妻子に会えないことは悔しいと思ったに違いないが、安心したからこそ彼はその後タスマニアに行ったのではないか(なぜタスマニアなのかは自分の中でしっくり来ないのだが)。


最後のシーン。タスマニアの海岸に広がる絶壁の景色が、ジェフン魂の解放を表している気がしてならなかった。カメラは空へ遠くなりながら、断崖には点のように小さくなっていくイ・ビョンホン様。大海原につづく水平線をまっすぐ見つめて立つ姿が、スーパースターの孤高の美しさをまとっていて気高く見えた。

イ・ビョンホン、さすがです!!!
心が空遠くうばわれるぐらい、すばらしい映画でした!!!

※最後に、一つだけ。だれか知っていたら教えてください。
タスマニアに着いた後、チチ(犬)が最後、ワンキャン!と吠えた後、ビョンホンから離れて草むらに入って行くのですが、あれはどういう意味があるんでしょうね。あなたはそっち、わたしはこっちに行くから。そういう意味なのでしょうか? とても気になりました。

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毒女 悦子

韓国映画をみてハッと胸をわしづかみにされたことありませんか?
悲しい時つらい時に韓国映画を見て、心がほんのすこし救われたことありませんか? しあわせを感じたことありませんか?

わたしはたくさんあります。

韓国映画のもつ奥深さになぐさめられたり、息もできない胸苦しさを覚えたり、一日中その余韻に浸ったり、夢の中まで追いかけられたり。 韓国映画に流れるあたたかいもの、残忍なもの、切ない永遠のものに、 ずっとずっと恋をしています。

同じ気持ちの人たちとつながっていたい。

アラフィフ。老後が心配。
でも死ぬまで韓国映画を抱きしめているぞ。

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