家族

シン・ミナとコン・ヒョジンが姉妹に!「今、このままがいい」(2018)

2019-08-17

独りで生きてきたと思ってませんか? わたしはあなたの隣りにずっといた

作品情報

●評価 5.0★★★★★
●制作 2008年
●上映時間 96分
●原題 지금, 이대로가 좋아요(今、このままがいい)
●監督 プ・ジヨン
●脚本 プ・ジヨン
●出演
シン・ミナ、コン・ヒョジン、チュ・グィジョン、キム・サンヒョン、パク・トンヒョン、ヤン・ヨンジョ他


韓国映画の隠れた名作中の名作!

見た目も性格も正反対の異父姉妹が、母親の死をきっかけに父親探しに出る。姉妹は些細なことで反目し合いながらも、家族とはなにかを考えていくロードムービー。

この映画は派手に宣伝されなかった地味な作品である上に、観客動員数も大したことがなかったらしいが、わたしには感動が深く、とてもとても大好きな作品だった。これこそハリウッドに負けない隠れた名作といっても過言ではないほど。

邦画タイトルは原題通りのタイトル「今、このままがいい」だが、この意味は映画を観終わってしみじみと伝わってくる。そう。このままがいいのである。

この作品は、後半の後半にあっという展開がまっていて、そのネタばらしをしてしまうと非常につまらなくなるので、ここではなるたけ多くを話さないようにしたい。
最後、韓国映画ならではの展開に、最後は、涙があふれて前が見えなくなってしまうほどになるほど。こんな平凡なタイトルの映画だが、またしても韓国映画にやられてしまった。

異父姉妹という役柄を、シン・ミナさんとコン・ヒョジンさんが演じているが、さすが賞荒らしの二人だけあって、演技が引き込まれる。すべてが自然体で、わたし演技してます感がなく、ほんとうにすばらしい作品だと感動する。

また、撮影はほとんど手カメラで追いかける風に撮るので、ドキュメンタリー感がある。だが、ゆっくりしたテンポで流れていくので映像酔いが起きることなく、最後まで落ちついて見ることができる。

済州島の美しい風景、島を行き来する船や、鮮魚の小売人たちの生活、青く広い海がこの小さな家族が抱える長い年月の大きな悩みをやさしく映し出していく。


まずもって構成がよかった。

異父姉妹であり、かつ性格が真逆という二つの主軸を作り出して、それを対照させたのはストーリーとしてわかりやすかった。

ミョンウンという父親不在でさみしい思いをして生きてきた、人見知りする妹(シン・ミナ)と、同じ父親不在ではあるが、性格が明るく小さなことにこだわらない明るい姉ミョンジェコ・ヒョジン)を対照的に絡ませることで、川流で石の角が削られていくように、お互いのさみしさを理解し合っていくという展開。

ミョンウンは自分が父なし子だったゆえ、同じ父なし子を産んだ姉ミョンジェをどこかで許せず、まるで父を責めるように、姉ミョンジェをことあるごとに責めたてる。ミョンジェは頭にくるのだが、さすがに年が離れているだけあって、妹のことを感情的にならずに見守るというスタンス。

妹はさみしさに感情をあらわにし、姉は笑いながら感情を閉じ込める。
この二人こうも性格が違うのに一緒に旅なんてできるの?

と観客は心配するが、二人は見事に派手にケンカをしながらも、折り合っていく。「で、あんた、だいじょうぶなの?」といたわり合いながら。
ここらへんの思いやりかたは絶妙ですのでお楽しみに。

今、目の前にあるしあわせに気づくことの大切さ

わたしがこの映画で感じたのは、
「今」という時空にたいする生き方であり考え方。

人は「今」という瞬間の尊さを知らないで生きている。

過去に後悔をし、未来に不安を覚え、
大切な今の「今」が一秒一秒流れていくのに、それさえ気づかないでいる。

わたしを含め多くの人が「今」を「今」としてこの瞬間を生きていない。
ほとんどの人が「今」という時が一秒後の「過去」になった時に、はじめて焦りはじめ、これに感情をぶつけていく。

主人公のミョンウンシン・ミナ)もその一人。
母親の死をきっかけに、昔、自分を捨てた父親を探そうと異父姉妹の姉(コ・ヒョジン)とともにケンカをしながらも、旅に出る。

ミョンウンは考える。どうして父は私を捨てたのか。
わたしはどうして父に捨てられたのか。
私はなにか悪いことをしたのか。

過去に疑問をぶつけ、悲しみをぶつけ、そこを解決しない限りは、自分は一歩も前に進めないと考えつづける。

彼女の旅は、最後、父にたいする「赦し」という形で漂着するのだが、
それは、過去でもなく未来でもない「今」の父を大切にしたいという気持ちへと変化していく。

小さな毎日にある、小さなしあわせ

この「今」という「今」。
わたしたちは心でしっかりと受けとめて生きているだろうか。
「今、このままがいい」と受け入れる気持ちがどれほど人生において大切な意味合いをもつのか。この映画をみると、少しわかるかもしれない。

わたしは人生にハッとしたり、少しだけわかったりする瞬間は、
そんな大それた出会いやイベントから来るのではなく、
日常生活の中の退屈で、平凡で、しあわせがそこにあることさえ気がつかない、小さな毎日から来るものだと思っている。
だから、砂をかむような毎日でも、積み重ねていこうと思うのである。

こういうことに気がつかせてくれる韓国映画の人間を深く見つめた力に
わたしはただただ感動を覚える。
韓国映画ってどうしてこうステキな映画ばかり作るのでしょうね。

「子猫をおねがい」のようにしみわたる映画です。

どうぞぜひ観てください。

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毒女 悦子

韓国映画をみてハッと胸をわしづかみにされたことありませんか?
悲しい時つらい時に韓国映画を見て、心がほんのすこし救われたことありませんか? しあわせを感じたことありませんか?

わたしはたくさんあります。

韓国映画のもつ奥深さになぐさめられたり、息もできない胸苦しさを覚えたり、一日中その余韻に浸ったり、夢の中まで追いかけられたり。 韓国映画に流れるあたたかいもの、残忍なもの、切ない永遠のものに、 ずっとずっと恋をしています。

同じ気持ちの人たちとつながっていたい。

アラフィフ。老後が心配。
でも死ぬまで韓国映画を抱きしめているぞ。

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