スリルとサスペンス

ソン・ヒョンジュ主演!「リバイバル 妻は二度殺される」(2015)

2019-11-11

殺されたはずの妻から電話がかかってきた。電話の向こうには殺される直前の妻がいる。夫は妻を救えるのか!?

「リバイバル 妻は二度殺される」予告編

評価 3.5★★★☆
●2015年製作
●原題 더 폰(ザ・フォーン)
●上映時間114分
●監督・脚本 キム・ボンジュ
●出演
ソン・ヒョンジュ(コ・ドンホ 弁護士)
オム・ジウォン(トンホの妻 産婦人科医)
ペ・ソンウ(ド・ジェヒョン 元刑事班長)
ノ・ジョンウィ(トンホの娘)
ファン・ソクチョン(ソ・グァンヒョン 便利屋)
チョ・ダルファン(キム・ギュス 同僚弁護士)
イ・チョルミン(ソン・ソクホ 殺人捜査課チーム長)
ファン・ボラ(キム・ヘジン 後輩弁護士)
キム・ジョング(パク・セムン テユン建設社長 新国民党候補)


あらすじ
トンホソン・ヒョンジェ)は敏腕弁護士である。担当事件が大会社の不祥事につながる事件が多いだけに、脅迫も日常茶飯事に受けている。妻ヨンスオム・ジウォン)はそんな夫を心配する。

ある日、帰宅すると妻が何者かに殺されていた。茫然とするトンホと娘ジョンウィ。警察は強盗殺人事件として調査を開始するが、なかなか手がかりがつかめないでいた。

やがて1年が過ぎ、ヨンスの命日が訪れる。トンホの携帯に、なんと殺されたヨンスから電話がかかってきた。誰かのいたずらかと思ったが、確かにヨンスの電話番号であり、声である。トンホは2015年の現在を、ヨンスは1年前の2014年という時空を生きながら、会話を交わしていた。

トンホはハッとする。今日はヨンスの命日である。1年前の今日、ヨンスが殺害されたのであれば、今なら彼女を救うことができるかもしれない。トンホはヨンスに帰宅したらダメだと強く忠告する。しかし産婦人科医のヨンスは急患に呼ばれて電話を切ってしまう。

トンホにヨンスから電話がかかってくる。すでに彼女は帰宅していた。犯行時刻は数分後に迫っている。トンホは焦る。すぐに家を出て安全な場所に逃げなさいと忠告するが、時すでに遅し。犯人はすでに自宅前まで来ていた。電話の向こうでガラスが割れる音がする。ヨンスが悲鳴をあげた。

妻ヨンスの命が危ない。電話に向かって叫ぶトンホ。はたしてトンホはヨンスを救うことができるのか。妻の死から1年経った今日、男の本当の闘いが始まろうとしていた。この映画は、時空をまたいで夫婦がお互いを思いやり、助け合って未来を切り開こうとする時空サスペンスドラマである。



※ここから先はネタバレが含まれます。まだ観ていない方は読まないことをお勧めします。


度肝を抜いた圧巻の演出! 二人が同じ家にいながら、過去と現在が同時進行する!

時間回廊の殺人」や「時間離脱者」を見ているような気持ちだった。韓国映画はこういうタイムワープものや、輪廻ものが好きだ。かくいう私も大大好きだ!

そんなことありえないと思う方は多いだろうが、わたしはもしかしたらあり得るんじゃないかと思う派だ。将来においても、タイムワープは現実化するだろうが、そもそも科学の力でなくても大昔からタイムワープができる超人はいたのではないかと想像している。

目を閉じれば瞬時に過去にも未来にも行ける人はいるのではないか。もしかして、タイムワープは茶飯事に起こっていて自分たちが気が付かないだけなのかもしれない。未来の自分から電話がかかってきたら、私は迷わず信じるだろうし、未来の自分のために今をもっと真剣に生きるだろう。

なぜタイムワープが起きたのか? 本作では太陽フレアによる衝撃波の大量発生による電磁波の乱れが原因だった。電磁波の乱れが時間軸の不一致を生じさせ、過去の妻からの電話が現在の夫へつながってしまうという不可思議な現象が起きる。現在から過去にコールバックをすることはできないが、過去の妻から現在の夫にのみ電話はつながる( 過去の夫へはつながらずに、現在の夫へつながってしまっている)

左)妻ヨンス(オム・ジウォン)       右)夫ヒョンジュ(コ・ドンホ)

この映画も、時間の捉え方が非常に面白い。時間を一直線でとらえるのでなく、多層的にとらえる。つまり、いくつもの過去といくつもの現在といくつもの未来が同時進行しているのだが、過去のいつかの部分を書き換えると現在と未来の姿もたちどころに書き換えられていくことになる。

※以下、過去に生きるA=過去A
    現在に生きるA=現在A と略称する。

本作で言えば、現在ヒョンジュの携帯に、たまたま1年前暴漢によって殺された妻ヨンスからの携帯がつながってしまうが、過去を書き換えると未来も瞬時に書き換えられていくので、過去ヨンスを救うことで、現在も彼女が生きることになる。まるで神の領域にある運命を変える力だが、この荒唐無稽とも思える力を二人が信じて挑戦することで、この映画はより一層ドラマチックなものへとなっていく。

ヒョンジュの目の前で過去が書き換えられ、コップや皿が消えていく

なにより、一年後妻ヨンスの命日に、ヒョンジュが彼女を死なせまいと運命に抗う場面は圧巻だった。過去の妻と現在の夫が連絡を取り合い、事件があった正に同じ家の中で、同じ時を刻む。二人をつなぐのはもちろん現代最強の武器スマホだ。

ヨンスが強盗に抵抗して少しでも長く生存すると、現在という時も少しずつ書き換えられていく。ヒョンジュの目の前で現在という風景が次々とアップデートされていく演出は、この映画の中で最高に目を見張った瞬間だ。棚から本が消え、コップが消え、鉢植えもすべて瞬時にして消えていくのだ。めちゃくちゃおもしろかった!

1年前のこの日の妻をなんとしてでも守りきり、妻が目撃した犯人を妻の情報をもとに現在の自分が追い詰めていく。そう考えると、どんな完全犯罪だって出来やしないと思ってしまう。その通りだ。
おい! じゃあ、過去ヒョンジュは何をしてたんだ?!妻が殺されようとしているのに?! と言われそうだが、過去ヒョンジュは会社の送別会で一晩中酔っぱらって遊んでました。そう。過去ヒョンジュが役に立たなかったので、現在ヒョンジュが過去ヨンスと組んであの日の惨劇を乗り越えようとする。そんな映画なんですこの映画は。

犯人が、ペ・ソンウ扮するジェヒョンというのは映画始まってすぐに露呈することから、犯人探しの楽しみは観客には残されていない。観客が注目するのは、はたして過去ヨンスが過去ジェヒョンから逃げ切ることができるか否かである。逃げ切れれば、現在ヨンスは生きている可能性が高くなる故、あとはジェヒョンをつかまえるだけなのである。

このように過去と現在が同時進行しながらも、どちらも舞台にして展開していくことから、観客はすこし頭が混乱するかもしれない。残念だが、タイムワープものには混乱がつきものなのである。メモをとられたし。

過去ヒョンジェがやっと登場する最後。今まで何してたのあなたは?!

前述したが、この映画は複数の時間軸が同時進行し、現在と過去が絡み合うことからタイムワープものの中でも最高にやっかいだ。最後の自宅での死闘シーンなどは、犯人ジェヒョンがどちらにも登場し、現在においては夫ヒョンジェを半殺しにし、過去においては妻ヨンスを絶体絶命一歩手前まで追いつめる。二つの時間軸で同時に殺人を犯そうとするなんて、まったく極悪非道極まりない奴だ。

こんな複雑な脚本を書いた人もすごいが、これを映画という平面の世界で表現してのけた「リバイバル」は本当によくやったと思う。若干の分かりにくさはあったにせよ、まぁこれが精一杯であろう。

死にかけていた現在ヒョンジェだったが、過去の自分が
犯人をやっつけてくれたおかげで助かることに。

過去ヨンスが少しでも生きながらえると、過去と現在がアップデートされていくと述べたが、最後のシーンがまさにそうであった。送別会をやってもらって一晩中酔っぱらって遊んでいた過去ヒョンジェがやっと帰宅し、家に忍び込んで妻を殺そうとしていた過去ジェヒョンに一撃を食らわしたのだ。

やっと来たのね。現在ヒョンジェ、今まで何してたのあなたは?!
わたしは思わず叫んだ。

アップデート以前では、夫が帰宅した時、すでに妻は殺されていたが、過去ヨンスと現在ヒョンジェが助け合って延命したため、過去はアップデートされ、過去ヨンスは夫が帰宅するまで何とか生き延びることになった。ここがミソだ。

現在ヒョンジェも娘も殺されかけたが、過去ジェヒョンが死んだ瞬間に現在が決定的にアップデートされ、何事もなかったかのように家族が朝を迎える。まるで長い夢を見ていたようにだ。犯人のジェヒョンは1年前に死亡していた。もう怖いことは何もないのだ。長い死闘だったが、振り返ってみると1日だけの出来事であった。

不思議だったのは、翌朝、現在ヒョンジェが起きた時、それまでの死闘をすべて覚えているのに(夢で見ていたのか)、娘は何事もなかったかのように振る舞っているところだ。妻ヨンスも同じだが、彼女にしては1年前のことだから仕方がないのかなと思った。

最愛の妻と娘が何事もなかったかのように朝を迎える。
「パパお酒臭いわ」
「あなた、娘の前ではしっかりしてよ」

ダメ親父に妻娘のいつもの厳しい指導が飛ぶ。
こんな普通の朝をだれよりも愛しく感じるヒョンジュ。

ダメ親父ヒョンジェが最高にステキに思えたラストだった。
そう。親父は今日も走る。愛する妻娘のために、未来をよりよくアップデートするために!

[超どーでもいいネタ]  謎のインド人が出没する!


すみません。あまりにもしょーもないのですが、謎のインド人がまた出ていたので気になって仕方がありません。「ラッキー」では主人公のご近所さん役、芸名アヌパム、本作ではAnfumanという芸名です。わたしには同一人物にしか見えないのですが、だれか知っていたらこの人のこと、そっと教えてください(笑) 

とくに本作では、なぜ警察署の鉄格子のあの位置にいたのか意味不明。グァンヒョン(ファン・ソクチョン)の助手なのか、警察のアルバイトなのか。なぜすんなりコーヒーを持ってこれたのか。彼はなぜ鉄格子に入っていないのか。神出鬼没。

さすが世界のインド人だ。

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毒女 悦子

韓国映画をみてハッと胸をわしづかみにされたことありませんか?
悲しい時つらい時に韓国映画を見て、心がほんのすこし救われたことありませんか? しあわせを感じたことありませんか?

わたしはたくさんあります。

韓国映画のもつ奥深さになぐさめられたり、息もできない胸苦しさを覚えたり、一日中その余韻に浸ったり、夢の中まで追いかけられたり。 韓国映画に流れるあたたかいもの、残忍なもの、切ない永遠のものに、 ずっとずっと恋をしています。

同じ気持ちの人たちとつながっていたい。

アラフィフ。老後が心配。
でも死ぬまで韓国映画を抱きしめているぞ。

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