
韓国ゾンビはせっかちで速くて世界一おっかない!誰か止めてくれ!
作品情報
●評価 4.0★★★★
●制作 2016年
●上映時間 118分
●原題 부산행(プサン行き)
●英 語 題 Train to Busan
●監督 ヨン・サンホ
●脚本 パク・チュソク
●出演
コン・ユ、マ・ドンソク、チョン・ユミ、キム・スアン、キム・ウィソン、チェ・ウシク、シム・ウンギョン(特別出演)
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あらすじ
主人公のソ・ソグ(コン・ユ)は、証券会社に勤める有能なサラリーマン。猛烈仕事人間のせいで妻に愛想をつかれて別居中。そんな自分を反省して、娘に釜山にいる母親に会いたいとせがまれ、娘の誕生日に釜山行きのエキスプレスにいっしょに乗る。
数日前には、韓国のとある町で感染源が特定されないウィルスが発生していて、それが猛烈な勢いでソウルをはじめ全国に深刻な広がりを見せていた。なにも知らないソグと娘スアン。
発車直前、ある体調のすぐれない女性が乗り込んで来た後から、次々と感染者が広がり、鉄道車内は目を疑うようなパンデミックへと変わっていく。ソグとスアンは無事にプサンへとたどり着くことができるのか。
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※この先は、ネタバレが含まれます。未だ御覧になってない方は読まないことをお勧めします。
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韓国産ゾンビのすさまじさ。日本人はかないません!
さいこーにおもしろかった!
期待しないで観たから得した気分。ほくほく。
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映画がはじまった約20分後には鉄道車内でゾンビ1号が誕生し、その1分後には2号がきちんと誕生するという超高速ゾンビ増殖が始まっていきます。
噛まれて5秒後には、一丁できあが~り~という感じで、工場生産のようにきちんとしたゾンビちゃんが出荷されていきます。
誕生したゾンビちゃんは、獲物を見ると、がーがー呻きながら、走るは、つかみかかるは、ひっかくは、よだれは垂らすは、とにかく手におえないぐらいひどいせっかち。
さすが、韓国産ゾンビとあって、韓国人気質がほとばしっている。
むだな動きがないのだ。彼らは一直線にすばやく突っ込んでくる。
究極のせっかちゾンビなのである!
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わたしはゾンビ映画は大好きなので、西洋映画でも数あるゾンビ系を観てきたが、韓国産ゾンビほどせっかちはいない! 彼らは比類なき競争社会で育ったせいか、並外れて競争心が強い。カップラーメンの3分すら待たない。一秒でも早くいい肉にかぶりつきたいのだ。
おまけにものすごいアスリートだ。
空からむささびのように飛び降りてくるは、走る電車にしがみついてくるは、でんぐり返りながら食いついてくるは、もしかしたら1年後の東京オリンピック(2020)にも侵入してくるんじゃないかと、奴らはまったくもってやばい存在だ。とくに韓国の軍人ゾンビはやばいっっっ!
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この映画、このゾンビ という要素に加えて、鉄道KTXという閉じ込められた空間が相まって、狭い空間の中でゾンビに襲われながらも、見知らぬ者同士がお互いに励まし合い助け合い、愛する人を守ろうと必死に戦い抜く場面がなんとも感動的だった。
ソグは娘を守ろうと、サンファ(マ・ドンソク)は妊娠中の妻ソンギョン(チョン・ユミ)を守ろうと。
最初は、自分の都合ばかりを優先して、他人に優しくあろうとしないソグも、娘スアンに
「自分のことしか考えないパパ。
だからママも家を出たんだね」
と泣かれ、ハッとする。
それ以後、ソグは恐ろしいゾンビと向き合う中、いろいろな人に命を助けられながら少しずつ変わっていく。閉鎖的な中で生き死にをかけた戦いを繰り返していく内に不思議な連帯感が生まれ、積極的に周りの人を助けようと成長していくのである。
この点のソグの変化も見ものでした。
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ただ、この映画は、哲学云々に触れたいというよりも、ただ普通に、ゾンビ系パニック映画を楽しめばいいかなと。
とにかく展開がシンプルで早くて、わくわくする!
この映画、字幕なしでも分かるんじゃないかと思うほど、小難しいことがほとんど出てこない。ゾンビ映画ってこういうところがすごい。
このゾンビたちはひっじょーにうまく作られていて、出てくる人数も半端ない。これだけの人数のゾンビエキストラをよくもまぁ集まられたものだと感動する。
画面いっぱいのゾンビがうじゃうじゃ登場してくる。
みな完璧なゾンビ化粧をしてるし、どんなに目立たない端っこのゾンビも、関節外れたまま歩いているキテレツさは見応え半端ない! まさかほんとうに関節外しているのか?!
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ゾンビ化してもコン・ユはかっこよかった
愛する人を守るためにゾンビだろうが何だろうが戦うのだが、愛するために自分自身を特攻隊のようにゾンビ集団に突っ込んでいく場面もあり、泣けた。
妊娠中の妻ソンギョンを守ろうとサンファがゾンビに身投げし、
野球部員ウシクがゾンビ化した女友達ジニのそばから離れられず感染し、
最後は、ソグが娘スアンとユミを守るために車両から身投げして別れるシーン。
ゾンビに噛まれて、自分が数分後には人間の感情をもたない肉食ゾンビになると分かった瞬間、愛する人を思いやってああいう行動をとるってほんと出来ないし、最高だなぁと。
ベタな感情に浸ってしまって、素直に泣けた。
最後のコン・ユのゾンビ姿に、
「うげー。ゾンビになっても色男だっ!」
と興奮したのはわたしだけか。

ちなみに、映画では「ゾンビ」という言葉はまったく出てこず、「暴徒化」「感染者」という言葉で表現していたが、すみません、これはどう見てもゾンビ映画なので、ゾンビと表現させていただきました。
ゾンビに関して、ふと疑問に思った。
①ゾンビ同士は食べ合いっこしないのか?
②ゾンビ同士は仲たがいしないのか?
③ゾンビはただ襲うだけの習性なのか?
④学校へは行くのか?
⑤どこで寝ているのか?
だれか知っていたら教えてください。
最後に、わたしの愛する韓国ゾンビたちを画像で紹介して終わります。
名も知れぬ彼らひとりひとりが力を合わせてこの映画を作り上げてくださった。
愛すべきゾンビエキストラたちに心から感謝します。
韓国ゾンビ、さいこー!
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